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2002年7月31日、8月1日、8月2日
カナダ、アルバータ州ウォータートン

今日の宿泊は、ウォータートン湖の湖畔にある有名なホテル、Prince of Wales Hotel (プリンス オブ ウェールズ ホテル) です。


プリンス オブ ウェールズ ホテル

ウォータートン湖を巡る町は、メインストリートに数十軒のレストランや土産屋が並ぶこじんまりとした町です。バンフとは比べ物にならないほどひっそりとしています。

ホテルは、ウォータートン湖の北側の Emerald Bay (エメラルド湾) を見下ろす小高い丘の上に建っています。1927 年に建てられた 7 階建てのこのホテルは、ウォータートンのランドマークといってもよいでしょう。

 


ホテルにチェックインしたのが 6 時過ぎ。私たちは次の日のハイキングのプランを立てるために、フロントでいろいろな資料をもらい、ホテルにあるレストランで食事をしながら次の日の予定を決めることにしました。

ホテルにはレストランとバーがついていて、私たちは食事をするためにレストランのほうに入ったのですが、これは失敗でした。値段がとんでもなく高いわりには、食事の質といいサービスの質といい最低でした。夏にバイトで来ているらしい学生がウェイターをしているので、マナーにも欠けているし、料理についても無知。ただ高いだけでした。

それでも食事をしながら私たちは、ハイキングコースを決定。この周りにはいくつものハイキングコースがあり、私たちはその中でも結構大変そうだけれども美しい景色を満喫できるというお墨付きのコースで、Crypt Lake (クリプト湖) まで行くことにしました。

 



クリプト湖までのハイキングコース (赤い点線)

ハイキング用のランチボックスをフロントにお願いして、その日はお部屋でゆっくりすることにしました。といっても、ホテルの建物自体が古く、上の部屋の物音が筒抜けるようにして聞こえたり、お風呂に入っていたら、下のレストランから水漏れがあったという連絡をもらったり。。。古いから仕方ないんですが、1泊 340CAD もとるならもう少し何とかして欲しいな、と思いました。ここは一度泊まればいい、いや、一度も泊まらなくてもよいホテルのひとつになってしまいました。

クリプト湖までのハイキング

次の朝、私たちは 7 時に起床。軽く朝食を済ませ、船着場まで急ぎました。ハイキングコースのある山の麓までは湖を船で渡っていきます。船は午前中は 9 時と 10 時発があり、午後は 4 時と 5 時半という具合になっています。

私たちは 9 時の船でハイキングコースのスタート地点へ向かいました。夏だというのに、この辺りは気温も低く、みんな防寒服に身を包んでいました。私は 4 枚重ねの上着で対処。それでもまだ寒いほどでした。

クリプト湖までは片道 8.7km、約 3 〜 4 時間ほどのハイキング。平たい道ではなく、山を登るコースです。9 時半に登り出せば、1 時頃には湖につき、お弁当を 1 時間ほどゆっくりと食べ、船の時間に間に合うように 2 時過ぎには下りはじめる、という感じでいけることになっています。


岩の上にかわいらしい生き物発見。

この辺りはクマも出る、ということで、なるべく固まって進むようにと教えられました。地元の人いわく、クマ除けの鈴は効力がない、とのこと。むしろ、大人数で大声で話しながら歩くのがよいとか。つまりは、人間である私たちがクマさんの住まいにお邪魔していますよ、ということ伝えてあげることが大切なようです。

まあ、クマなどには出会うまい、と思いつつ私たちはハイキングを開始。いきなりの急斜面の登り道には少々まいりましたが、出だしは好調。1 時間ほど歩くと、身体も温まり、1 枚、また 1 枚と、重ね着していた上着を脱ぐほどに。

 


ちょっとした氷原。

5 〜 6 人の集団の先頭を、鼻歌など歌いながらのほほんと歩いて 1 時間ほど経ったところ。何やら茶色の大きな影が上のほうで動いている、と感じ、ふと上を見たら、な、なんとクマがのそのそ横切っているではないですか!!! 声も出なければ、足もすくんでしまい、後ろにいる人間に注意をしたくてもなかなかうまく身体が動かない。ここで大声を出したらかえってクマの神経を逆なでするんじゃないか、とか咄嗟にいろいろな思いが頭の中をぐるぐる巡り、かろうじて身体を 180 度回転させ、後続の人たちのほうに顔を向ける、目で上側を指し、"BEAR" と口パクで知らせたのでした。一瞬みんなも何が起きたか、という具合に、硬直状態。

それでもみんな怖いもの見たさ、とでもいうんでしょうか、すぐにクマを見たい一心ですばやく移動。そんなこともおかまいなしに、クマはのしのしと、しかしすばやく草木が生い茂る中を横切って消えてしまいました。

クマを見たという興奮はおさまらず、それからもクマを探しながら歩くことになりました。はは ^^;


自分で写した写真ではありません。。。そんな余裕はどこにもなかった。これがいわゆる Black Bear です。私の観たのもちょうどこんな感じに茶色の毛並みでした。


滝の下には氷原が広がっていました。


山の断面には神秘的な白い花が咲きほこっていました。

この白い花は、Beargrass というそうです。

このハイキングコースはいろいろな景色を楽しむことができます。草木が生い茂る森の中を抜けると、直射日光をさんさんと浴びる山の斜面になったり。かわいらしい花が無数に咲き乱れる高原に出たり、ちょっとした氷原もありました。また、すばらしい滝も 3 箇所ほどあり、遠くには Big Horn Sheep の親子の姿を見ることもできました。

クライマックスは、何といっても湖手前の険しい崖でしょうか。断崖を渡ると、梯子で洞窟まで登り、洞窟をすり抜けると更なる険しい崖をよじ登る。その奥に、息も止まるほどの美しいクリプト湖が横たわるのです。


断崖絶壁の岩の上で

クリプト湖に辿りつくには、この洞窟をくぐって反対側に出ます。

遠めに見た滝が神秘的。天人が住んでそう。

クリプト湖に着いた私たちは、あまりの美しい景色と静けさと、4 時間あまりのハイキングの疲れで、しばらく放心状態でした。エメラルド色の湖は、人間の住む世界とは別の次元でひっそりと息づいているように見えました。大自然の中にぽつりと置かれた私は、人間を超えた "何か" になったような気分でした。自然の力ってすごい。

帰りの道は行きよりは楽でしたが、それでも 3 時間ほどかかりました。下り終えた私たちはもうぐったり。迎えの船に乗り、朝出た波止場に戻ったときにはお喋りする気力すらないほどでした。

 

ホテルに戻り、しばらく休んだあと、私たちはウォータートンのダウンタウンへと出かけました。

ダウンタウンといっても、レストランやお土産屋さんが10数軒並ぶだけの本当に小さな町ですが、観光化していないところが何とも魅力的。2階建て以上の建物がないせいで、周りの山々が視界いっぱいに楽しめます。

通りには街灯が少ないため、空とともに町自体も暗くなるところなど、都会生活に慣れてしまった私たちには懐かしくなるほどでした。

 


暗くてよく見えませんが、ウォータートンのダウンタン。

私たちは、町の外れにあるバーレストランのようなところで食事をすることに。いただいたステーキは、ホテルのレストランとは比べ物にならないほどの美味でした。

ビールを1杯飲んだら、疲れのせいか酔いがいっきに周り、私たちはホテルに戻り、倒れるようにして床につきました。


これはさらに暗くて見えませんが、私たちが食事をしたレストラン。

翌日、私たちはウォータートンを後にしました。国境を渡ってアメリカ合衆国に入ることに。ここからはほとんど計画を立てていなかったため、風の向くまま車を走らせ、アイダホのサンドポイントというところで宿泊することにしました。

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