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2001年1月25日 レンタカーでコルドバからグラナダへ


前の晩に早くから寝てしまったせいか、朝は比較的早くに目がさめた。6時少々前だっただろうか。朝の遅いスペインでは、まだ夜中という感じなのかもしれない。窓の外も暗い。しばらくじっとして、ゆっくりと暖かいお風呂に浸かる。足の裏の痛みがほぐれるようだった。
朝8時半頃、ホテルのレストランで朝食を取る。朝からチーズやらハムやらが並んでいる。ビュッフェスタイルで好きなものを好きなだけ食べられる。卵料理も用意されていたが、かなり乾燥していたので、ウェイターに目玉焼きを別途つくってもらうようお願いした。オレンジジュースはさすがにおいしい。アルカサルの庭園に植えられていたオレンジの木を思い出した。

オリーブの木

朝ご飯をすませると、すぐに出発の用意をする。ホテルをチェックアウトし、駅に向かってタクシーに乗る。駅といっても列車に乗るのではない。今日からはレンタカーでの行動だ。異国の地でレンタカーを運転するのは少々不安が伴うが、次の目的地であるグラナダまでは車が一番便利なのだ。
レンタカーはすばやく借りることができた。私たちはプジョーでグラナダめがけて出発!ちょうど10時だった。
コルドバを出る道は比較的分かりやすかった。N-432 という狭いが快適なドライブを 楽しめる道をとにかく真っ直ぐ進む。周りは一面なだらかな丘が続くオリーブ畑だ。

この日は 朝から晴天で、広い青空がほぼ 180 度視界を飾る。コルドバとグラナダをつなぐ N-432 沿いには魅力的な小さな街が点在し、イスラム文化の香りを残す遺跡が多く存在する。
私たちは車を進め、まずは Espejo で休憩する。小高い丘のてっぺんには石で造られた城が建ち、急で迷路のような坂道には白い壁のこぎれいな家々が建ち並ぶ。街自体はかなり小さいが縦に長いような感覚を受けた。街の中心のような場所に車を止め、とにかく歩いてみることにした。外は寒いが、急な坂道を登っているうちに、うっすらと汗さえかいてくる。城は閉鎖されているようでもあった。城の周りには小さな住宅が建ち並ぶ。それぞれに隙間なく建ち並んでいる。やっと起き出した主婦たちが、それぞれ集いはじめ会話を交わしている姿が見受けられた。多分この街では全員が顔見知りなのだろう。とても仲がよさそうだ。
いかにも観光客といった私たちは 45 分ほど街を歩きまわり、Espejo を去った。
次は、Castro del Rio だがここは見送り、次の街 Baena へと車を進める。Baena は多分 N-432 上の街としては一番大きな街ではないだろうか。街に入ったまではよかったが、道が分からず結局のところ 2 時間ほど費やすことになってしまった。街の中心にはかなりの人がいて、車の行き来も激しい。かわいらしいカフェも並んでいて、暖かい町並みが心をうつ。2 時間もかけてドライブした割には、何となく収穫が少ない街だったが...。

次の街は Alcaudete。Baena と Alcaudete の間にはすばらしい城を垣間見ることができる。ドライブ中はとにかく右手を注意しよう。
ほぼ 2 時近くになり、スペイン人のシエスタ時間に近づいていたため、私たちも休憩して昼食をとることにした。Alcaudete は横に広がった街だ。丘の上には、やはり横に広がったようなごっつい石の城が建つ。城まで行く時間はなかったが、しっかりと昼食はとらなくては。
N-432 沿いの角地に建つこじんまりとした Bar/Restaurant に入った。


Alcaudete の丘の上にどっしりとかまえる城後

ドアを開けると、シエスタをはじめたスペイン人がすでに酒の杯を交わしていた。表側は Bar になっている。勝手を知らない私たちはとにかく Bar のカウンターに腰掛けてメニューを頼む。すると、スペイン語でバーテンダーが何やら言ってくる。つまり、食事をするなら、裏側だ、というわけだった。ああ、そうか、という具合に、カウンターから腰を上げ、裏側に回る。屏風のようなもので仕切られているだけなのだが、表と裏では雰囲気がガラリと違う。裏側はレストランなのだ。
白いテーブルクロスをひいたテーブルがいくつか並ぶ。とにかくほっとしてテーブルにつくと、たどたどしいスペイン語でお勧めなどを聞いてみる。いかにも紳士的なウェイターのおじいさんがスペイン語でお勧めを。えーい分からない、が、お勧めからほうれん草とガーバンゾービーンズの炒め物と、ポークの何とか、それとスープを注文する。お通しのような形でサラダとパンが出てくる。サラダは単なるレタスとたまねぎとトマトなのだが、なぜかうまい! オリーブオイルのドレッシングのせいだろうか。ほうれん草もいけていた。何てことない料理がとてもおいしいのは、家庭料理っぽかったからだろうか。ウェイターのおじいさんも品性があり、やさしく暖かい。とにかく満足して私たちはそのレストランを後にした。
昼食を食べた私たちはとにかくグラナダへ急ぐことを肝に命じ、道を進んだ。Alcaudete からグラナダまでの道のりには数々の興味深い街が並ぶ。が、私たちは迷子になることを計算に入れ、とにかく陽が沈む前にグラナダのホテルに到着することを考え、一目散にグラナダを目指した。
グラナダだけではないが、スペインのどこに行っても道路の名前を探すのが難儀なのだ。アメリカなどは信号機の下あたりに道路の名前が書いてあるものだが、スペインは違う。自分がどこにいるのかが皆目検討がつかないのだ。グラダナに入ってしばらく迷子になりながらも、何とかようやくホテルに到着することができた。
ホテルは、アルハンブラ宮殿内にあるパラドールだ。国営のホテルなのだが、とにかくすばらしい。パラドールはスペイン中あちこちに点在する。古い城や領主の自宅、あるいは由緒ある修道院などを改築してホテルに仕立て上げたすばらしい造りの国営ホテルだ。グラナダのパラドールはアルハンブラ宮殿内にあるということで、かなり人気が高いらしい。本来なら数週間前に予約を入れないと宿泊できないようであるが、今回はマドリッドの知人がうまく予約を取ってくれた。ラッキーだったのだ。これが夏だったら無理だっただろう。
ホテルの部屋はさほど大きくないが、重厚な建物に近代的な設備が整っていて、文句の言いようはない。私たちはチェックインを済ませると、とにかくグラナダの中心街に向かう。4時を少々回ったぐらいだっただろうか。アルハンブラ宮殿から中心街まではさほど距離はない。歩いて 20 分もない程度だ。まずは、カテドラルに向かう。グラナダの陥落後、モスク跡に 1518 年から建設が開始されたようだ。カテドラルを出ると、細い道がつながる街を歩き回る。グラナダは大きな街だ。あちこちに店が建ち並び、冬だというのに観光客がわんさと歩き回っている。
しばらく歩いていると、小さなオリーブオイル店が見つかった。なかなか本格派らしいその雰囲気につられて店に入ると、エクストラバージンイルのほかにも多種の食材が店内を飾っていた。私たちはとにかくオリーブオイルに興味があったので、店主らしい男性にいろいろな質問を投げかけた。エクストラバージンオイルとは最初に搾り出した一番酸度が低いオイルのことらしい。香りはほのかにフルーティでもある。私は大きなボトル 1 本と、中びん 2 本を購入した。
さらに足を進め、グラナダでも最も古い地区アルバイシンへと向かう。イスラム教アラブの統治下に城塞都市として発展し、その外観は今でも伝えられているとのこと。現在でも、この丘の外観をそこなうような建築は差し控えられているらしい。元来城塞都市として設計されたアルバイシンの街は迷路そのものだ。シエラ・ネバダを背景にした壮大なアルハンブラ宮殿を見るには、アルバイシンの丘の上が一番なのではないだろうか。


アルバイシンの道は狭く、
両側を高い白壁に囲まれている。

道は小石を敷き詰めたボコボコ道で、坂はかなりの傾斜があるため、ここもまた足に豆ができそうな思いがするが、歩きながら道の両側に建つ古めかしい家々を見るだけで心が清まる。なぜか不思議な街なのだ。
7 時まで歩き続けクタクタになったところに、大雨が降ってきた。仕方なく雨宿り用のレストランを見つけて入ってみるが、なかなか満足いかずに注文もせずに席を立ち、ほかへと向かう。アルバイシンの入り口ともいえるところにある雰囲気のよいバーに入ってみる。外は寒い。シェリー酒を飲み、つまみを頼むが、つまみ自体が品切れだそうで、ここではお酒だけを飲むことにした。
疲れた足を引きずって寒い雨の中をまた歩き回るには、なかなかの勇気が要った。それでも下調べしておいたレストランがあり、アルバイシンの坂の上だが、とにかくそこまで行くことにした。レストランは大抵 8 時にならないと開かない。1 時間ほどシェリー酒で身体を温め、それからまたアルバイシンの坂道を上へと歩いた。最初に入ったレストランは、偶然見つけたレストランだったのが、失敗だった。何とスイス料理のようだった。スペインにわざわざ来ているのに、スイス料理を食べる筋合いはないだろう、ということで、ここも申し訳ないが席を立ち、注文もせずに去ることにした。
最終的には最初から行きたかったレストランへと向かう。アルバイシンの坂の上にある。miraaor de Morarma というレストランだ。門が高いため中がどんな感じかは入ってみるまで分からない。入ってみると広い中庭があり、レストラン自体とても大きかった。レストランの窓からはシエラ・ネバダを背景にひっそりと優雅に建つアルハンブラが写った。すばらしい景色だ。


シエラ・ネバダを背景にひっそりとそびえ建つアルハンブラ

さて、やっと食事にありつける。ところが、メニューを渡されたものの、すべてスペイン語で皆目検討がつかない。隣に座っているカップルがどうやらドイツ人らしいと気づいた私たちは、とにかく彼らと会話をはじめ、何気なくメニューの詮索にかかる。彼らもこのレストランをガイドブックか何かで見たのだろう。店のオリジナルを分かっていた。
ドイツ人カップルのアドバイスに半ば従い、私たちはオレジンと鯛のサラダと、それぞれメインディッシュを注文した。私はポークカットレットを注文したのだが、肉自体はやわらかくおいしかったが、少々油っぽかった。とにかくでかい肉の固まりをドンと出された感じで、繊細さに欠けていたかなという感じ。うーーん、いまいちだったかな...。それでもレストランの雰囲気は抜群だし、ワインもおいしい。私たちの座った席からは灯りにともされてアルハンブラは拝めなかったが、それでも、壁づたいにオーラは感じられるようだった。食事を終えてポーチに出てからでもゆっくりと幻想的なアルハンブラの姿を拝むことができる。しばらくうっとりと眺めて帰ることにした。
ホテルに着いたのはすでに11時半頃だった。たくさん歩いたせいか、暖かいお風呂に浸かった私は、浴槽の中で眠ってしまった。ふと気づいて起きたときには、途中まで読んでいたはずの本が水浸しとなっていた...。

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Last Update : 2002-12-30