カルモナへは比較的早くついた。午後 5 時を少々回ったほどだったか。天気は相変わらずよくなく、小雨がちらついていたし、とにかく風が強かった。ホテルは、カルモナのパラドール。このホテルは、セビーリャ門とコルドバ門とともにこの町を守る城塞のひとつだったアラブの城をドン・ペドロ王が宮殿に改装したものらしい。グラナダ攻略の際にはイサベル女王と夫フェルナンド王も滞在したそうだ。その恍惚な建て住まいは、カルモナが歴史ある街であることを証拠付けるかのようでもある。外はかなり暗くなっていたが、部屋のテラスから見る景色はすばらしかった。アンダルシアの平原が視野一面に広がった。
ホテルにチェックインした私たちは、スペインの遅い夕食の時間まではかなりの時間があるということで、ぷらりと街見物に出ることにした。外は暗く、寒く、風が強かったが、それでもホテルに座っているわけにもいかない。
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パラドールへの入り口。重厚な門だ。
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カルモナの街はとても小さい。ホテルは丘の最高峰に位置するが、そこから下って
8 分も歩かないところに街の中心があり、そこから街の入り口を示す門までは 3 分とない。とてもこじんまりとした街だ。が、かつて国王の居城があったために、歴史的な建造物が多いようだ。相変わらずに狭い石畳の道の両側には白い壁の家が隙間なく建ち並ぶ。その壁にはタイルが目立つ。スペインの家のほとんどが二重ドアのようになっている。外の壁に付いているドアの奥には小さなスペースがあり、その先にもうひとつのドアがあるのだ。そのドアとドアの間の小さなスペースにもタイルが敷き詰められている。とにかくかわいらしい。 |
狭い道をはさみ白い壁の家々が建ち並ぶ。壁にはタイルの看板が。 |
重厚な佇まいのセビーリャ門
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カルモナの中心は、市役所や17世紀の建物に囲まれたサン・フェルナンド広場。天気のよい昼間は素敵なところなのだろう、と想像などしてみる。とにかく、私たちはセビーリャ門まで歩くことにした。セビーリャ門をくぐり、外に出ると、さらに活気付いている。どうやら、旧市街の外のほうが賑わっているらしい。それでも
2 分も歩くと何となくしんみりしてくるほどで、やはり小さな街にかわりない。やたらと銀行が多いのも気になった。大勢の若者たちがバーで飲んでいる姿も拝見できる。たしか平日だったよな、と思いつつ、やはりのどかなのだと納得。
とにかく寒いので、旧市街へと戻った。途中、タイルを作っている店があり、そこでしばらくタイルを眺める。とにかくかわいらしい。単なる数字が書いてあるタイルでさえ、その色のあせかたといい、数字の大きさといい、手作り感がたっぷり出ていて暖かいのだ。タイルでつくった壁画のようなものも多々置いてあった。 |
1時間少々歩き回り、かなりおなかがすいてきたので、ホテルへと戻ることにした。街にはこれといったレストランがないようだったので、その日はホテルで食事をすることにした。このレストランも昔、王が宴を催した大広間なのだそうだ。